ヘイフリッピー君。ご機嫌麗しゅう。今日もいい天気、うららかな昼下がりだね。


 さてちょっと上の方で散歩としゃれこんでいた私だけれどもね、少々君に尋ねたいことがあってこうして降りたったわけなのだよ。単刀直入に訊くが、君の隣に先ほどまでいた女の子はいったいどうしたというんだい? 誰って、君のことを慕っているあの笑顔がかわいらしい女の子のことさ。アドリアブルーの髪がとてもよく似合う、君にいつもお菓子などを作ってくれていたあの子じゃないか。思い出せないのかい?
 実はね少し前に君たちが楽しそうにお喋りしながら歩いているのを見かけたのだけれど、再びすれ違ってみれば彼女は手品のようにいなくなっているじゃないか。だから私はどうしたものかと思ってこうして君に尋ねているのだよ。軍人君。君は一体全体彼女をどうしてしまったんだ?














 やあスプレンディド。ご機嫌いかが? 今日もいい天気、静かに日が暮れていくね。


 悪い。君の言っている意味がよく分からない。君は何の話をしているんだ? 女の子って、一体誰のことだと言うんだ。君は確かに見たというんだねその女の子とやらを。おかしな話だな。僕がわすれていて君が覚えているなんて。思い出せないも何も、本当に記憶にないんだよ。誰なんだろう君の言うあの子、とは。
 アドリアブルーの、髪の色? 白い花で髪を飾った……?


 ああ、じゃあペチュニアのことだね。笑顔とかお菓子とか訳の分からないことを言うから分からなかったよ。おれの頭の中には大きな声で泣き喚いて命乞いをしていた彼女の姿しかないものだから。あの子はいっちゃっただけだよ。




 あの子はかみさまに会いにいったんだ。



















( おれなんかにすきだといってくれるやさしいあの子がかみさまに口づけをしにいっちゃったって、べつに不自然じゃあないだろう? と虚ろな目で語る軍人君の目は、それはそれは赤い血で濡れていて )


















title by ウルトラヴァイオレット ( あの子はかみさまに会いにいったんだ )

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